浮気調査では聞き込みは行わない?

■聞き込みは逆効果?

探偵が浮気調査をすると聞くと、調査員が周囲に目撃情報などを聞き込みしているシチュエーションが思い浮かぶかもしれません。
でも実際には、浮気調査において原則聞き込み調査は行われないのが一般的です。
その理由は調査していることを、対象者や浮気相手に気付かれる確率が非常に高いからです。
とある奥様の話で、旦那様の浮気を疑い、同じ会社の知り合いの同僚にそれとなく聞き込みをしたところ、全員にシラを切られたというエピソードがあります。
同僚にとっては旦那様は仲間、奥様は所詮「外の人」ですから、どちらを守るかといえば旦那様のほうを取ってしまうわけです。
結局同僚は全員旦那様の浮気を知りながらそれを隠し、しかも奥様が疑っていることをバラしてしまったため、その後証拠を掴みにくくなってしまいました。
知り合いの奥様ですらこうですから、初対面の調査員に聞き込みをされたところで、事実を話す人などまずいません。
そこまで親しくなかったとすれば、逆に「関わりたくない」と考えるのが現代人です。
またそもそも東京では隣近所に誰が住んでいるかもわからない状況ですから、事情を知る近隣者もまず見つからないでしょう。

■プロは現場を押さえるからこそプロ

浮気というのは一般的な言い方で、民事裁判において問われるのは不貞行為です。
浮気というのは一人ひとり基準が異なるもので、たとえばまったくその気がない相手とでも、異性とランチに行くだけで許せない、浮気だという人もいます。
これでは裁判所も手が回りませんので、不貞行為に一定の基準を設け、それに該当するかどうかを審議することになっているわけです。
ランチが許せない人にとっては信じられないことでしょうが、不貞行為は、配偶者を持つ人が配偶者以外の異性と自分の意思で性的行為をすることです。
常習的に肉体関係がある、あると思われる行動が証拠となりますので、探偵はそうした決定的な証拠を掴むことで調査を成功させます。

■証拠1回ではダメなのか?

もし慰謝料を請求するために調停を考えているなら、前述のような証拠は1回だけでは不十分かもしれません。
というのは、証拠一つだと慰謝料が極端に安くなってしまうためです。
よく浮気1回では不貞行為にあたらないという声を耳にしますが、もちろんそれは間違いで、当然ながら不貞行為は不貞行為です。
ただし、裁判になった時に満足のいく結果を得られない確率が高くなるため、証拠は複数回押さえるのが基本となっています。
たとえば慰謝料の額の問題だけでなく、1回だけの不貞行為では離婚が認められないのが一般的です。
判例では1回限りの不貞行為で離婚を認めた例はなく、離婚するには「継続性」が問われます。
もちろん両方が離婚に同意すれば問題なく離婚できますが、浮気した挙句離婚はしたくないと相手が言い出した場合には、裁判で強制的に執行するために継続性の証明が必要となります。
証拠は言い逃れをさせないためのものですから、回数が多ければ多いほど観念するでしょう。
こうした知識を踏まえて、適切な調査を実施することが肝心です。